『デッドマンズ・ワイヤー』感想
随分久しぶりだなと思ったら、ホアキン・フェニックス主演映画『ドント・ウォーリー』以来約8年ぶりの新作となるガス・ヴァン・サント監督作品『デッドマンズ・ワイヤー』。1977年2月8日に起きた人質籠城事件を生々しく描いたクライム・サスペンスで、犯人&被害者による籠城と警察との攻防、さらにはキャストにアル・パチーノがいるなど、あきらかに『狼たちの午後』を思わせるものが多い劇場型犯罪の映画化で、音楽やファッション、美術が1970年代らささを味わいつつも緊迫のクライム・サスペンスが楽しめる。
クライム・サスペンスとしては犯人のトニーと被害者のリチャードの籠城で、これに警察だけでなく、マスコミが大勢取り囲んだ劇場型犯罪になっていて、その模様を見事に映画化している。事件自体は人質籠城なので動きは少ないが、いつ何が起こるか分からない緊迫感はある。
これは犯人トニーを演じたビル・スカルスガルドの演技によるものが大きく、追い詰められた者の狂気がビンビンに伝わってくる。その気迫、追い詰められ感はそれこそ『狼たちの午後』のアル・パチーノを彷彿させる。長時間の籠城に、駆けつけるマスコミ、差し入れの食料(ピザじゃなかった)など、まさしく『狼たちの午後』にそっくり。事件自体が1977年2月とあって不動産投資会社の雰囲気やトニーがリチャードと面会する社長室、籠城した部屋、トニーやリチャード、警察のファッションなど、どこを切っても70年代らしさが溢れている。
終盤にかかるB・J・トーマスの「Raindrops Keep Fallin' on My Head」(「雨にぬれても」)がカタルシスを感じさせ、これまた70年代演出としてはうってつけだった。派手さはないが70年代のムードを満喫するにはいいかも。
評価:8/10
《作品データ》
『エレファント』や『パラノイドパーク』のガス・ヴァン・サント監督の最新作は1977年にインディアナポリスで起きた人質事件を題材にしたクライム・サスペンス!1977年2月8日、インディアナポリスでトニーは不動産投資会社に行き、役員で社長の息子リチャードと面会するが、隙を見て銃を突きつけ人質にとる。やがて、警察が駆けつけるもトニーは場所を移動しながら、リチャードに銃を突きつけながら籠城することに。主人公トニー役をビル・スカルスガルドが演じ、他デイカー・モンゴメリー、ケイリー・エルウィス、マイハラ、コールマン・ドミンゴ、アル・パチーノが出演。
・7月17日(金)より角川シネマ有楽町他全国ロードショー
・配給:KADOKAWA
・上映時間:105分
【スタッフ】
監督:ガス・ヴァン・サント/脚本:オースティン・コロドニー
【キャスト】
ビル・スカルスガルド、デイカー・モンゴメリー、ケイリー・エルウィス、マイハラ、コールマン・ドミンゴ、アル・パチーノ
原題:Dead Man's Wire/製作国:アメリカ/製作年:2025年
・公式HP:https://movies.kadokawa.co.jp/deadmanswire/

コメント
コメントを投稿