『氷血』感想



今年だけでも監督作品として2本目で、脚本のみも含めれば『禍禍女』もあるから3本目とハイペースな内藤瑛亮監督最新作『氷血』。前半は降旗康男監督作品風の雪景色のヒューマンドラマにちょいと不思議なドラマを足した感じで、後半は心理描写に根ざしたホラー・ファンタジーとクライム・サスペンスで一気にジャンル映画にしあがり、新たなる令和の「雪女」を作り上げた!


前半は福島県の会津若松市の豪雪地帯の集落に引っ越してきた若い夫婦と幼い子供の家族と認知症を患った父親とのヒューマンドラマが中心で、そこに不気味な雪女の絵画があってホラーになりそうだが、あくまでも悠希の内面や想像の映像化なので純粋なホラーではない。後半になってファンタジカルなホラー猫写が増えてホラーとは言えるが、フライヤーのビジュアル等でホラーの期待が高いと中盤までは期待程とはいかないかも。


後半からは『リング』のようなほんのりJホラー風味もあるし、稔ら家族も家庭内がおかしくなり追い詰められ過激な猫写が目立つ。それとは別に、前半に関しても雪景色の風景を上手く映した映像美などはかつての降旗康男監督作品に通じるし、認知症の父親とのやり取りなど、昭和のヒューマンドラマっぽさもあるので、ホラーとは別に楽しめはする。


不気味な「雪女」の絵画の使い方は幽霊画っぽくもあるし、これを「雪女」の民話にも上手く被せ、不穏な家族のヒューマンドラマも混ぜて、令和の「シン・雪女」を作り上げた。ホラーとは言えなくもないが、どちらかといえばサイコスリラーで、ホラーに過度な期待を持たなければそこそこ楽しめる。


評価:7/10


《作品データ》

『ミスミソウ』や『許された子どもたち』を手掛けた内藤瑛亮監督による「雪女」を新たに解釈したサイコスリラー&ホラー映画。デザイナーの稔は妻の悠希と息子の晶を連れて、豪雪地帯にある実家に移住し、認知症の父の茂の面倒を見ることに。ある日、茂が雪の中で怪死しているのが発見され、玄関の錠が壊れていたり、非常食が紛失するなど悠希に疑念の目が向けられ、精神的に追い詰められる。悠希役を加藤千尋、稔役を北山宏光が演じ、他山谷碧都、佐津川愛美、福島リラ、渡辺哲、佐野史郎が出演。

 

・7月3日(金)より新宿バルト9他全国ロードショー【PG12】

・配給:ショウゲート

・上映時間:98分

 

【スタッフ】

監督・脚本:内藤瑛亮/脚本:片桐絵梨子

【キャスト】

北山宏光、加藤千尋、山谷碧都、佐津川愛美、福島リラ、渡辺哲、佐野史郎

 

・公式HP:https://hyoketsu-movie.jp/

 

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